Mentor For 公開シンポジウム「政官民のトップランナーが語る 女性活躍の未来」の開催レポートを公開しました

Mentor For 公開シンポジウム「政官民のトップランナーが語る 女性活躍の未来」の開催レポートを公開しました

 

 

近年、さまざまなところで聞かれるようになった「D&I」や「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」。一方で、日本はジェンダーギャップ指数が156カ国中120位(2021年版)とG7では最下位であり、依然として政治参加や経済の分野で大きなジェンダー格差がある状況です。

これまで「社外メンター×女性管理職育成」に特化して数多くの組織を支援してきた株式会社Mentor Forは、2022年2月21日(月)に「政官民のトップランナーが語る、『女性活躍』の未来」と題したイベントを開催。

経済産業省経済社会政策室・川村 美穂室長、ソフトバンク株式会社コーポレート総括人事本部・源田 泰之本部長、徳島市・内藤 佐和子市長の3名をゲストに迎え、政官民それぞれの視点から、女性活躍推進の現状・課題・取り組みをお話しいただきました。

登壇者(五十音順)

川村 美穂氏 |経済産業省経済産業政策局 経済社会政策室長大学卒業後、通商産業省(当時)入省。2015年資源エネルギー庁電力・ガス事業部ガス市場整備課にてエネルギー自由化の制度の構築、2017年大臣官房情報システム厚生課にて行政文書管理ルールの整備の後、2019年貿易経済協力局技術・人材協力課にて日本企業における高度外国人材の活躍推進を担当。2020年11月より現職にて、日本経済の成長戦略としての「ダイバーシティ経営企業100選」、「なでしこ銘柄」、女性リーダー育成研修の実施等、企業における女性活躍を中心とした「ダイバーシティ経営」の推進等に取り組む。プライベートでは二児の母。

源田 泰之氏|ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事本部 本部長

1998年入社。営業を経験後、2008年より人事領域を担当。2019年HRアワード個人部門の最優秀賞、2018年プロリクルーターアワード最優秀賞などを受賞。ソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア、グループ社員向けの研修機関であるソフトバンクユニバーシティを立ち上げ、社内起業制度であるソフトバンクイノベンチャーでは選出されたアイデアの事業化を推進し複数社の設立を支援。2021年より、エンジニアリングとオペレーションで変革を支えるSBエンジニアリングと、人事サービスを提供するSBアットワークの取締役も務める。また、高い志と異能を持つ若手人材支援を行う孫正義育英財団の事務局長も兼務。

内藤 佐和子氏|徳島市長

2020年4月、徳島市長に就任、全国で最年少の女性市長となる。2021年3月、在日米国大使館と駐大阪・神戸米国総領事館から「勇気ある女性賞」を授与される。2021年4月、男女共同参画社会形成の促進に関する政策等について調査審議等を行う内閣府の「男女共同参画会議」の議員に就任。市の将来像に「わくわく実感!水都とくしま」を掲げ、「さまざまな主体との連携」「DE&I」をキーワードとした市政運営を進めている。「徳島から日本を変えていく」をモットーに、あらゆる人が参加しやすく持続可能なまちづくりを目指して行政の常識にとらわれない新しい取組に次々と挑戦している。

【ファシリテーター】

池原 真佐子|株式会社Mentor For 代表/一般社団法人ビジネス・キャリアメンター協会 代表理事

 

女性活躍の現状と課題 〜政官民の立場から〜

 

池原 真佐子(以下、池原): 

皆様、どうぞよろしくお願いいたします。私自身、この「女性活躍」というテーマは自分ごととして、思いを持って取り組んできました。さまざまなライフイベントや社会の固定観念がある中で、女性が働きやすさ・働きがいを感じられるようになるには、どうするべきか。女性活躍にまつわるさまざまな課題や現状について、一緒に考えたいと思います。
今回ご登壇いただくゲストの方々は、政治・行政・民間企業それぞれの場で、女性活躍を推進されている第一人者です。まずは、皆様が今感じる課題をお聞かせください。

川村 美穂氏(以下、川村):

日本のジェンダーギャップ指数は156ヶ国中120位(2021年版)。特に政治・経済の分野で、女性活躍が思うように進んでいません。

この現状を受けて、政府は2003年、男女共同参画社会の実現に向け、社会のあらゆる分野において2020年までに指導的地位(※)に女性が占める割合が30%程度になるように「202030」と称した目標を掲げたんです。

※「指導的地位」の定義
(1)議会議員、(2)法人・団体等における課長相当職以上の者、(3)専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者とする。(内閣府男女共同参画局ウェブサイト)より引用

しかし、残念ながら2020年までの達成には至りませんでした。上場企業の女性役員比率は2021年の段階でもいまだ7.5%にとどまっています。

政府でその要因を振り返ったところ、2つの要因があるとわかりました。1つ目は、パイプラインの構築が不十分な点。女性社員が中間管理職、部長、役員へと進んでいくための社内ネットワークや育成の仕組みづくりが、まだまだ途上段階なのです。

2つ目は、世の中でのアンコンシャスバイアスが根強く残っている点です。たとえば、育児中の女性に対して、企業側が「もう少し負荷の少ない部署に異動してもらおう」と考えてしまう。女性側も「私は働く時間に制限があるので責任ある仕事をするなんて無理」と気後れしてしまう。

これまで社会に浸透していた性別の役割分担意識が、先ほどのパイプライン構築の課題にも大きく関わっているのです。政府としては、この2つの課題を解決したいと考えています。

 

池原:

アンコンシャスバイアスについては、川村さんがおっしゃったように女性自身が「私は女性だから、こうしなければならない」と自分の可能性に蓋をしてしまっているケースも多いですよね。続いて、源田さんはいかがでしょうか。

 

源田 泰之氏(以下、源田):

ソフトバンクでは2017年に、ダイバーシティや女性活躍を推進する部署を新設しました。さまざまな施策を打ち出してきたものの、依然として男性社員と女性社員の昇進状況を比較すると倍近くの差がある。業績評価には男女の偏りがないにもかかわらずです。

その原因を調べていくと、川村さんからお話があったアンコンシャスバイアスの問題や、社内で女性課長・部長のロールモデルが不足していることから、管理職への自信をなかなか持てずにいる女性社員が多いのだとわかりました。

企業人事の立場からすると、本質的な“適材適所”ができていない可能性があるわけです。これは企業の成長にもマイナスになると危機感を覚えました。

そこで、今年度からはトップのコミットメントをより強化し「女性活躍推進委員会」も立ち上げ、全社を挙げて取り組んでいるところです。その中で感じるのは、女性活躍推進には、すぐに確実な効果が現れるような特効薬がないということ。

正解がない中で、やれることは全て取り入れながら一つひとつの施策を検証していく。効果のある施策はさらに範囲を拡大して注力していく。ビジネスの進め方と同じようにやっていくしかないと感じています。

 

池原:

「特効薬がない」は、まさにですね。けれども、多面的に試していく重要性を感じました。内藤さんはいかがでしょうか? 政治分野は、特に女性活躍がまだまだ途上な部分も多いかと思います。

 

内藤 佐和子氏(以下、内藤):

都市部と比較して、地方では特に旧態依然とした保守的な考え方が根強く残っています。政治の分野においても、1721自治体中、女性の首長はたったの32人。2%以下の割合なんです。

実際に、私が徳島市長に就任するまで、女性の部長は1人もいませんでした。人材プールが非常に少ないので、管理職に登用しようと思っても、なかなか引き上げることができません。「私なんかにできるはずがない」とおっしゃる女性の方も多いです。

ただ、私が37歳で市長に就任した後は「若くても、女性でも、首長になれるんだ」と声をかけていただけるようになりました。

誰かが先陣を切ってロールモデルとなる。そして次の世代に「女性でもできる」というメッセージを発信していく。やはり、こういった取り組みを継続していかなければ社会を変えるのは難しいと身をもって感じています。

 

池原:

先日、30代女性が首相を務めるフィンランドの大使館の方とお話をしたのですが、「女性リーダーを見慣れることが大事だ」とおっしゃっていたのが印象的でした。内藤さんがロールモデルとして先陣を切るお姿に、日本でも同じ現象が生まれていくのではないかと、本当に勇気をもらえます。

女性活躍推進における政官民の現場の取り組み事例

池原:

続いて、女性活躍推進における具体的な事例を伺いたいと思います。川村さん、いかがでしょうか。

 

川村:

経済産業省では、東京証券取引所と共同で2012年より「なでしこ銘柄」の選定に取り組んでいます。女性活躍に優れた上場企業を選定をして、中長期的な企業価値向上が有望な企業として投資家の場でご紹介することで、企業への投資を促進し、各社の取組を加速化していくのが狙いです。

開始から10年目となりますが、女性活躍において成果を上げた企業を見ると、2つの共通点があるように思います。

1つ目は、継続的に施策に取り組んでいる点です。各社に話を聞くと、「成果が出るまで5年はかかる」と皆様おっしゃるんですね。とある企業では、実際に5年かけて女性管理職を100名近く増やされました。1年目には現場に「なぜ女性活躍が必要なのか」を説いて回り、2年目以降には各階層別にメンター制度・スポンサー制度を取り入れたり研修を実施したりと、あらゆる施策を実行していったそうです。

投資したコストに対してなかなか成果が得られず、1年目で断念してしまう企業も多いです。しかし時間はかかっても、着実に組織が変化していく実感を持てるはず。企業様はぜひ粘り強く取り組んでいただきたいですね。

2つ目は、トップの発信力です。トップが不退転の覚悟を持って、企業の重要な経営戦略として「何が何でもやる」と推進されている企業は成果をしっかりと上げています。初めは現場から反発があったとしても、発信を続けるとやはり意識が浸透していくんですね。

 

池原:

ありがとうございます。源田さんはいかがでしょうか。ソフトバンクでは、まさにトップの方がコミットされている印象です。

源田:

社長の宮川は、女性活躍推進委員会で「この女性活躍推進の取り組みは働き方改革そのものであり、経営改革そのものだ」とメッセージを発信しました。ヒト・モノ・カネの資本の適切な分配と利益の最大化が、経営者の重要な任務。それと同様に重要な経営戦略の一つであると位置づけたんです。

また、具体的な取り組みとして、女性社員の思いや意見を直接聞くラウンドテーブルの機会を設けています。その中で、管理職に対する意識の差があるとわかりました。管理職でない社員は「管理職は大変そうだ」とマイナスなイメージを持っている一方で、有職者の社員は「管理職になって時間のコントロールがしやすくなった」「マネジメントを通じて得た学びを、社会活動や育児にも活かせる」とポジティブな意見が多かったんです。

この意識の差を埋め、もっと前向きに管理職へチャレンジする社員を増やすために、社内メンター制度やコーチングの活用を推進しています。社内には女性の管理職がまだまだ少ないので、外部から知見をお借りするのも重要だと経営トップや役員も考えています。

最後にもう一点だけ。人事の立場から、女性活躍はまさに会社の成長に直結する取り組みであると実感しています。会社にとって人的資本をいかに最大化させるかが重要だと言われる今、女性活躍推進にまつわる課題の解消が結果的に社員一人ひとりの成長につながり、会社の成長にもつながる。そう信じて日々試行錯誤をしています。

 

池原:

私たちもメンター事業を行う中で、管理職を担うやりがいがなかなか伝わっていないと感じます。多様なロールモデルやリーダーシップを示す重要性。内藤さんはいかがでしょうか。

 

内藤:

徳島市では、自治体として初めて「ダイバーシティインデックス(組織の実態を可視化する指標)」を取り入れ、測定を行いました。

まずは徳島市役所でどのくらいダイバーシティに対する理解度があるのか、現状を明らかにするためです。それによって職員に「もっと勉強しなければならない」「本気でこの課題に取り組まなければならない」という意識が浸透してきたように思います。

並行して、女性職員にヒアリングも行いました。話を聞くと、やはり皆様不安なんですよね。「夜遅くまで仕事をしなければいけないのでは」といったイメージも根強くあります。

現在、女性管理職は部長1人のみです。来年度からはキャリアにまつわる不安や悩みをざっくばらんに話せるお茶会のような研修も実施して、女性管理職を育成する制度を整えていきたいと思っています。

地方創生の観点からも、ジェンダーギャップの解消はますます重要事項です。市役所だけに留まらず、徳島市に数多くある中小企業も巻き込みながら、一緒に多様性のあるまちづくりを考えていかなければいけません。

徳島県内でも2人目の女性首長が生まれ、市議会の選挙に女性が立候補するケースも増えています。「自分の住むまちをこうしたい」と自分ごととして考え実行したい人が増えれば、市議会も多様な人たちで構成されるようになるはず。メンターやロールモデル的な存在をいかに増やしてつながりを作っていくか、Mentor Forをはじめ企業の皆様からも学んでいきたいと思っています。

 

池原:

内藤さんのリーダーとしての姿を見て、住民の女性が「私もやってみたい、できるかも」と思えるのはすごく大事ですよね。ロールモデルは一方的に発信するだけではなく、双方向的なコミュニケーションを通じて自分たちの経験を次世代に伝え、その知見を循環させていく良いサイクルが生まれつつあることに、胸が熱くなりました。

政官民トップランナーから学ぶ 女性活躍推進に取り組むうえでのヒント

池原:

皆様、「なんとか女性活躍を推進したい」と感じていらっしゃると思います。どのように取り組んでいくべきか、そのヒントをぜひお伺いしたいです。まずは川村さんからお願いできますか。

 

川村:

まず皆様にお伝えしたいのは、女性活躍推進は単なる人事上の話ではなく、経営戦略そのものだということです。企業として何を目指すのか、どのように経営をしていくか。それが定まった上で、ダイバーシティを実現するための具体的な目標に初めて落とし込めるのではないでしょうか。

私たちが取り組んでいるなでしこ銘柄は、自分たちのダイバーシティにおける取組に何が足りていないのかを明らかにするためのメルクマールとして企業様からご活用いただくケースも多いです。調査票の項目のブラッシュアップにも取り組んでいますので、皆様にもぜひご参加いただきたいと思っています。

また、先ほどもお話が出ていましたが、社内のメンター制度やスポンサー制度に非常に力を入れている企業様は、軒並み女性活躍推進の成果が上がっています。海外調査なども進めつつ、政府の取り組みとして組織の中でメンター制度をうまく活用できる仕組みが構築できないか検討をしています。

 

池原:

なでしこ銘柄の調査表は、皆様ぜひ参考にしていただければなと思います。そして、メンター制度が女性活躍推進に効果的だとおっしゃっていただき、とても励みになりました。ありがとうございます。続いて、源田さんお願いいたします。

 

源田:

私たちもまだ試行錯誤中ではありますが、ヒントとして3点ほどお伝えできればと思います。

1つ目は、女性活躍推進を一緒になって取り組める仲間づくりが大切だということです。「本当にやらなければいけない経営課題だ」と全員が認識を共にする。リーダーもメンバーも、全員が課題の当事者として考える。その本気度や熱量が周りに良い影響をもたらすのだと、身をもって知りました。

さらに、その輪が広がりつつあるのを感じます。役員や本部長たちの本気度も上がりましたし、社内の女性活躍推進委員会以外のメンバーからも施策を提案してもらう機会が増えました。自分ひとりではできることが限られるからこそ、仲間と一丸となってコミットしていくのがよいと思います。

2つ目は、先ほどもお伝えした通り、トップのコミットメントです。立ち上げ当初の盛り上がりや熱量の高さを持続させるには、トップの継続的なメッセージの発信が欠かせません。

3つ目は、外部からアドバイスや知見を得ることです。実は当社の女性活躍推進委員会にも、大学教授や働き方改革のコンサルタントなど、3名のアドバイザーに入っていただいています。

社内のアンケート実施や意見交換にとどまらず、日本全国で見たビッグサーベイや、「アンコンシャスバイアスや“女性の自信のなさ”はどうして起こるのか」など、外の世界で起きていることを数字や根拠で示せると、より社員にも問題意識を持ってもらえるんです。

 

池原:

第三者の力を借りつつ、社内でも味方を増やしていく動きはどの企業様でも取り入れられそうですね。ありがとうございます。続いて、内藤さんお願いいたします。

内藤:

心理的安全性をいかに高めていけるかがポイントだと思っていまして。責任のある立場を任されるのが怖い。育児と両立できるかが不安。このような漠然とした悩みを、誰にも相談できず1人で抱えてしまっているケースが少なくありません。

ですので、悩みをきちんと上司やトップに打ち明けられるような関係性の構築が重要なんです。もし悩みを相談された際に、「そんなの大丈夫だよ」と取り合ってもらえなければ、女性側はきっと心が折れてしまいますよね。徳島市役所でも、それを防ぎたいと思っています。

そういう意味では、管理職に女性が抱える悩みや不安をきちんと理解してもらうことが必要不可欠ですね。源田さんからお話があったように、外部の力を借りて研修を実施するなども有効だと思います。

私自身も、各現場の職員とフラットにコミュニケーションを取るように心がけています。組織の課題や個人の悩みを言いやすい環境にしていきたいですね。

政治分野ならではの取り組みとしては、やはり女性の政治家をもっと増やしていきたいので、学生向けのインターン実施なども積極的に実施する予定です。実は、女子中学生の方からも市長のアシスタントをするインターンについて問合せがありました。

若い世代が政治に関心を持ってくれるのは、未来への希望。どんどんチャレンジできる機会を提供したいですし、市民の女性たちをエンパワーメントできる存在になりたいと思います。

 

池原:

内藤さん、ありがとうございます。誰もが自分らしいキャリアを実現するために、恐れも不安もない組織をつくれるかは本当に大事ですよね。一人ひとりから勇気をもらえるような示唆、そして具体的な取り組みについて伺えました。

参加者へのメッセージ

池原:

ここからは、イベント参加者の皆様よりいただいた質問にお答えしていきます。

「女性が活躍できる組織を作りたいけれど、産育休などで穴が開いてしまうかもしれず、女性を重要なポジションに登用することを躊躇してしまう。どうしたらよいでしょうか」

こちらについては、源田さんに伺ってみましょうか。

 

源田:

回答としては、「まずは1回やってみてはどうか」と。私たちの中には、当然バイアスが存在しています。一方で、絶対にこれが良いだろうという正解もないんですよね。

以前は、当社でも「女性が営業部の管理職を務めるのは難しいのではないか」と話が出ていました。でも、それって本当なのか?と前提を疑い、実際に試してみるプロセスには非常に価値があると思います。

それから、社内でラウンドテーブルを実施すると、男女ともに「家事は女性が多めにやるべきだ」との考えを持つ人がまだまだ多いと感じます。企業が介入できる範囲には限界がありますが、たとえば男性の育休取得を推進するなどで、家庭内の役割分業をフラットにする啓蒙活動を間接的に行えるのではないでしょうか。小さなことからでも、まず始めていけるといいですよね。

 

池原:

まずはやってみる、そのトライアンドエラーによって、今後の改善点なども具体的に得られそうですよね。次の質問に移ります。

「女性社員から、『今まで見てきた男性リーダーのような働き方ができない』という声を聞きます。このような悩みに対し、どのように支援していくべきでしょうか」

川村さん、いかがでしょうか?

 

川村:

これは私自身も感じた経験があり、非常に共感できます。

管理職に昇進する際、朝から深夜までコミットする働き方は絶対にできないと思いました。でも、まずは私なりのスタイルでやってみようと。現在も、19時までには必ず退勤するよう心がけていますし、育児休業も長期に取得しました。

限られた時間の中で仕事をしていると「周りより経験が不足しているのでは?」と、ときに焦りや劣等感も抱えます。ただ、実際にやってみると案外なんとかなるものだともわかりました。ですので、源田さんと同じく「まずはやってみませんか?」と、お伝えしたいですね。

きっと、今までの“当たり前”だった働き方やリーダー像を刷新できる良いきっかけになるはずです。

 

池原:

川村さんも悩んだり葛藤されたりした経験をお持ちだと聞き、すごく励まされました。内藤さんはいかがでしょうか?

 

内藤:

お2人のメッセージに強く賛同します。徳島市でも、消防局に女性管理職が初めて誕生しましたが、彼女に話を聞くと「最初は不安でしたが、やってみたら大丈夫でした」と言ってくれて。

「案外なんとかなるよ」というメッセージを、どのように下の世代に伝えていけるかが今後は重要だと考えています。

従来の管理職のように時間でカバーする働き方が難しければ、リソースの不足分をDX化による業務効率向上で補っていくなどもできるのではないでしょうか。市役所内でも、書類のオンライン共有や会議時間の削減に取り組んでいます。誰もが働きやすい環境を作っていきたいですね。

 

池原:

ありがとうございます。「自分らしいリーダーのあり方を自ら作る」は、重要なキーワードですね。一人ひとりの取り組みによって、これまでの長時間労働を前提とした働き方に変革をもたらせるのではないでしょうか。

皆様、非常に温かいアドバイスをいただきありがとうございます。最後に、お1人ずつメッセージをいただけますか。

 

川村:

私たちが一生懸命取り組んでいる女性活躍推進において、企業や地方自治体のリアルな事例を共有いただいたことは非常に大きなエネルギーをもらえました。誰もが生き生きと活躍できる世の中になるように引き続き努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

源田:

今日はそれぞれのお話を聞けて、大変勉強になりました。社内だけで頭を悩ませるのではなく、こういった共有の機会を持てるのは心強いですね。

引き続き他の企業や外部のの皆様と情報交換をしつつ、私たちも模索とチャレンジを重ねていこうと思います。ゆくゆくは、女性活躍推進のリーダー的な会社の一つであると言われるように頑張っていきたいですね。

 

内藤:

皆様、本日はありがとうございました。私も非常に有意義sで楽しい時間を過ごせました。

日本では、女性活躍推進にまつわる課題がまだまだたくさんあります。今後も、日本のジェンダーギャップ解消のために政治分野でこれからもできるかぎりのことを行っていきたいと思います。