【メンター×メンティ対談】内省と棚卸しによって「上司とはこうあるべき」から解放され、前進のきっかけに

女性社員のリーダー育成や活躍推進において、一人ひとりへのキャリア支援を行うとともに、ロールモデルを示すことは大きな効果があります。ただ、ロールモデルとなり得る女性社員自身もまた、キャリアに対する漠然とした不安や悩みを抱えていることは少なくありません。

転職サービス「doda」をはじめとした人材サービス事業を展開するパーソルキャリア株式会社では、社内のロールモデルとなる人材育成を主な狙いとして、Mentor For社外メンターによる女性管理職に向けた1on1メンタリングプログラムを実施。

エージェント事業本部・組織開発統括部 エグゼクティブマネジャー の川嶋 由美子さんは、「今より上の役職に就くことに対して抵抗感を持っていた」と語ります。Mentor For公式メンターの宮本桃子との対談形式で、メンタリングによってどのような気づきや変化があったのか振り返っていただきました。

  1. Mentor Forの社外メンターへの期待
  2. メンタリングを受けた感想
  3. メンタリングを受けて感じた変化
  4. 今後の目標

Mentor Forの社外メンターへの期待

川嶋さん:現在、人材紹介事業部門2000名ほどを支える組織開発統括の統括部長として、100名規模の組織を管轄しています。主なミッションは組織開発と育成全般です。入社していただいた方が長く活躍できるよう、さまざまな施策に取り組んでいます。

もともとは、求職者の方へ転職支援を行うキャリアコンサルタント職を長く経験してきました。新卒入社なので、社歴はもう20年になります。

メンタリング開始前は、正直に言うと「何をお話しすればいいんだろう」と思っていました。キャリアについての悩みは特になかったんですよ。ただ、年次が上がるにつれて、周りから「もっとレイヤーの高い役職を目指してみてはどうか」と言われることが増えてきて。ありがたいお話だと思いながらも、「期待に応えられるだろうか」という不安や、持ち上げてもらうことに対して抵抗感のようなものを抱えてはいました。

宮本:川嶋さんは、2度の産休・育休を経て、部長職となるまでキャリアを切り拓いてこられました。女性社員のロールモデルになってほしい、という社内の期待がとても大きいのではないかと思います。

初回のメンタリングでは、仕事や組織に対する責任感が非常に強い方だと感じましたね。お悩み相談というよりも、川嶋さんが今どんなことを考えてお仕事をしているのか、ざっくばらんに聞かせていただくところからメンタリングを開始しました。

メンタリングを受けた感想

川嶋さん:メンターである宮本さんのお人柄や傾聴力があってこそだと思いますが、まずメンタリングは「なんでも自由に話せる場」なのだという安心感を持ちました。

会社からの期待と、それを感じつつも少し戸惑っている自分。そんな構図のなかでもしっかりとゴールを定め、逆算したキャリアプランを描いていかなければならないのか……と窮屈さを感じていたのですが、思ったままを言っていいんだとすごく楽になれました。

宮本:川嶋さんは、そういうのがあまりお好きではないタイプだろうなと(笑)。逆に、現時点ではっきりと言語化できていないモヤモヤした部分も率直にお聞かせいただきました。

川嶋さん:宮本さんには、仕事をする中でふと違和感を抱いた出来事などもよく共有していたのですが、話を受け止めていただくなかで気づいたことがあったんです。それは、複雑で解決が難しいと捉えていた自分の課題は、社外の人も抱えがちな共通した悩みである場合が多いということ。私だけの孤独な悩みではないんだと、客観的な視点をいただけてハッとしました。

宮本:人って、どうしても自分の役割や置かれた環境からだけで物事を見てしまうものですよね。ただ外の世界を見渡すと、同じような悩みを持つ方は多くいて、解決するための共通したヒントや教訓も実はすでにたくさんあったりする。

そこで、川嶋さんの考えを受け止めつつ「似たような問題は、他社でもよく起こりがちなんです」「私の視点では、こういうふうに物事が見えますよ」と、意識的にお伝えするようにしていました。

川嶋さん:社内の「当たり前」や人間関係を知らない外部の方に話を聞いていただけると、物事をより構造的に捉えることができます。つい感情的になったときも一緒に整理していただき、落ち着いて考えられるようになりました。

メンタリングを受けて感じた変化

川嶋さん:メンタリングを通して、私は組織に対する思い入れが強いあまり、仕事やキャリアに対する固定観念が生まれているのではないかと気づきました。たとえば、自分のなかにある「こうあるべき」という上司像に合わせて自分を変えなければいけない、とか。

宮本:いろいろなお話から、川嶋さんの考える上司像とご自身との間のギャップを感じていらっしゃるのが強く伝わってきました。でも、川嶋さんは川嶋さん。ご自身らしいリーダーシップを発揮していけばいいんです。メンタリングの場でもそのようにお伝えしました。

川嶋さん:宮本さんにそうおっしゃっていただいて、納得感がありました。「絶対にこうしなきゃいけない」を手放せたというか、自分のなかで思考の広がりが生まれたと感じます。

振り返ると、仕事上の意見は周りに伝えてきましたし、組織の方向性は話せるのですが、先々のキャリアプランについて自身の想いを話したりする機会は今までなかなかありませんでした。自分に対する未来志向がないんですよね。そういう意味で、メンタリングは私にとって本当に貴重な時間です。

宮本:川嶋さんは、基本的にヒトよりもコトに目線が向いているから、ご自身に矢印を向ける機会はそう多くなかったんでしょうね。いざ向き合ってみると、さまざまな気づきがあったのではないでしょうか。今後のキャリアも、ぜひその「川嶋さんらしさ」を大切に歩んでいってほしい。そのための支援ができたらと思い、メンタリングをご一緒させていただきました。

今後の目標


川嶋さん:これまでも目の前のことに向き合ってキャリアを積み重ねてきたので、今も数年後のはっきりとした目標が定まっているわけではありません。

ただ、メンタリングによって、自分自身を今まで以上に理解でき、受容できた感覚があります。そうすると、自己否定をせず「ありのままの自分とどのように付き合っていけばよいか」に、自然と向き合えるようになれるんです。明日から自分を劇的に変えることはできないけれど、自分自身を受容できると、半歩先に進む勇気がわいてくるように思います。

今後は社内にメンタリングの取り組みを広げていき、社員一人ひとりの背中を押せたらと考えています。

宮本:最初の一歩は大変だけど、半歩ならきっと踏み出しやすいですよね。本人がまだ知らなかったり気づいていなかったりすることを、メンターから「外部の知見」として得られるのが、メンタリングの魅力。社内で良い循環が生まれることを期待しています。

川嶋さん:キャリアを歩むうえで、自分で答えを見つけるのってとても大事だと思っていて。一方で、自分の中に知見や選択肢がないと、納得感を持って進むことができません。メンタリングによって、内省するとともにメンターの方から新たな気づきをもらえる。その相乗効果を感じながら、私自身も前に進んでいきたいですね。

パーソルキャリア株式会社
https://www.persol-career.co.jp/