SOMPOホールディングス株式会社

「“安心・安全・健康” であふれる未来へ」を企業理念に掲げ、損害保険、生命保険を中心とした総合サービスをグループとして提供しているSOMPOホールディングス。2013年から、他社に先駆けて“女性活躍”及び“DEI”を推進する部署(現・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン推進本部)を立ち上げ、次世代の女性リーダー育成を目指した活動を続けてきました。
2023年からはジェンダーギャップの解消を中心とした社内のカルチャー変革を目的として、「社外メンターとの1on1」や「社内メンター制度支援」、「女性社員向けプログラム」であるステップアップワークショップを行うなど、Mentor Forの提供するサービスを導入。現在は、グループ会社へも門戸を開き、ホールディングス全体で継続的な取り組みを進めています。
今回は人事部・戦略企画チームの富樫様、高木様にサービスの導入の背景から実感した効果、今後に向けた展望などをうかがいました。
Mentor Forのサービス導入背景
富樫様(以下、敬称略):SOMPOホールディングスでは、社員一人ひとりがマイパーパスを設定しています。その上で個人が大切にする思いと会社との結びつきを上司と話しながら、自分のキャリアを設計していく「マイパーパス1on1」という取り組みを長年にわたり続けてきました。
あわせて、女性にフォーカスした施策も同じように取り組んできました。例えば、女性役員とのフラットなラウンドテーブルや直属の上司によるコーチングなどを通して、上と下、ときには斜めのつながりを作るといった働きかけをおこなっています。
高木様(以下、敬称略):そのほかにも、介護で悩みを持つメンバーがERG活動的に立ち上がり、社内に発信をしていくといった社員主体の活動も盛んで、女性活躍だけではなくDEIそのものへの社内意識はかなり前から高かったと思います。
しかしその一方で、女性の管理職が極端に少ないという実情がありました。保険会社という特性もあり、社員の6割は女性です。「せっかく素晴らしい能力を持っているのに十分に活躍できていない」「そもそもロールモデルがいない」という中で、どのようにリーダーを育てるか、または候補となるべき人材のモチベーションを醸成していくかは大きな課題でもありました。
Mentor Forの選定理由
富樫:Mentor Forさんには、さまざまな経験があり、かつトレーニングを積んだメンターが数多く在籍していることにまず魅力を感じました。メンティとのマッチングも、アンケートに基づいて社員本人の背景や抱えている課題を精査した上で提案していただけたのはとても心強かったです。相性の合わないメンターと何度もメンタリングを繰り返すのは本人のためにもならないので、そこは私たちも大切にした部分でした。
また、利害関係のない社外の方にメンターを担当いただけることも期待した点のひとつです。豊富な実績を持つMentor Forなら信頼してお願いできるのではと感じました。
Mentor For導入の効果
富樫:第1期のプログラムは2024年の2月から8月まで、約半年間にわたり行いました。その間に社外メンターとの1on1を3回、社内メンターとの1on1は月に1回以上実施しつつ、並行して講師からリーダーシップに関する講義を受ける「ステップアップワークショップ」も計4回開催しています。
当初から社外メンターとメンティとの1on1は心理的安全性を担保するためにも本人たちだけの場とし、会社側から干渉しないことを決めていました。その分進捗が気になるところではありましたが、Mentor Forから毎月一人ひとりについてのフィードバックをいただくことができたので、問題の有無をチェックしながら、陰ながらフォローする体制を作ることができたのは良い点だったと思います。
メンティからは「社外の人と話すからこそ、肩ひじをはらずに言語化や棚卸ができ、気づきを得ることができた」「仕事でもっている課題の原因をときほぐすことができ、漠然とした不安をより具体的に認識できるようになった」「たとえネガティブな話になってもメンターがポジティブにリフレーミングしてくれた」といった声がありました。大半が満足度を感じているなか、メンターとの相性で効果が変わるという声もあり、今後はマッチングの部分をより大切にしていきたいと考えています。
また、社内メンターは斜めの関係でマッチングする方法もありましたが、今回はあえて「直属の上司」とマッチングしました。仕事のサポートをし合う関係なので、交流を大事にしたいという意図がありました。
高木:アンケートの結果では、社内メンター、メンティともに行動や趣向について「変化を感じる」「やや感じる」という回答が80%を占めており、各社員にとって良い学びや経験になったことは間違いないと思います。
だからと言って、社内の空気が変わったとまではまだ言えません。社内の風土を、誰もが自由に発言できるだけでなく自由に活躍できるフィールドに変えていくためのあくまでファーストステップを踏んだ段階ととらえています。
今後の展望
高木:参加者のプログラムの満足度は高かったので、引き続き力添えをいただきたいと思っています。
一方で、参加者のモチベーションやリーダーに関する考え方は一定ではありません。女性リーダーを目指すだけではなく、もっと大枠で自分のキャリアや幸せを会社を通じてどのように実現するかといったことや、仕事を通じた社会貢献について習慣化して考えられる人材を育てていけたらとも思っています。
また、今回の取り組みは、ホールディングスだけで閉じ込めておくのではなく、いずれグループ全体に展開したいという思いを当初より持っていました。そのため、現在進行中の第2期ではグループ会社からも参加者を募っています。実際に募集してみてわかったのは、参加してくれた方のほとんどがすでにマネージャーということです。すでにリーダーになった方も、まだまだ社外の知見に触れ、学びたいという意欲の表れだと思います。マネージャー職にある方がメンタリングを受けて、どのような改善点が出てくるか、引き続き注視していきたいですね。
富樫:私たちはこの取り組みを“女性活躍”ではなく、“ジェンダーギャップの解消”のためのものと位置づけています。そのために女性管理職の比率を上げることも重要ですし、そもそもの多様性を担保していくことにも会社としてコミットしていかなければならないと考えています。
もちろん今回のプログラムをきっかけに、女性リーダーを目指して手を挙げる人が一人でも増えたらうれしいですが、たとえ「自分にはリーダーは向いていない」と思った方がいたとしても、それは間違いではありません。あくまで自己理解が深まった結果であり、何らかのかたちで次のステージに進む道筋が見えたからこその気づきでもあると思います。
これからのリーダーは旧態依然としたかたちではなく、さまざまな立場・環境で体現されていくものになるはず。プログラムを受けた方が各所属の中で、そういった存在になってくれたら、結果として会社の中に多様性がインクルージョンされたカルチャーが浸透していくのではと感じています。
また、こういったプログラムは実施中が最もホットなのですが、いざ通常の業務に戻るとまた所属のカルチャーに取り込まれてしまいがちです。そうならないためにも、最初に得た学びをどう深めて拡大していくか、周囲に影響を与えていくかについて、参加メンバーの指針や心の支えとなるようなプログラムもご提供いただけたらと期待しております。