トヨタ自動車株式会社

1937年創業の日本最大手の自動車メーカー、トヨタ自動車株式会社。同社ではモビリティ領域においてハードとソフトの両面から魅力的な性能が世の中から求められるようになったとして、多様な価値観と能力を持つ人材の育成に力を入れてきました。

その1つに、ダイバーシティ推進に向けた積極的な取り組みがあります。2002年には女性の定着・活躍を目的として、託児所の設立や時短導入・育休拡大といった施策がスタート。2014年には女性管理職の比率向上に向けた目標が正式に公開され、具体的な活動へと展開されました。

そして今回導入されたのが、Mentor Forの提供する「社外メンター 1on1メンタリング」です。D&I推進グループ グループ長の滝沢様、同じくD&I推進グループ 荒木様に、サービスの導入の背景から今後の展望までをお伺いしました。

  1. Mentor Forのサービス導入背景
  2. Mentor Forの選定理由
  3. Mentor For導入の効果
  4. 今後の展望

Mentor Forのサービス導入背景

滝沢様(以下、敬称略):自動車業界は近年、「100年に一度の大変革の時代」と呼ばれるほど大きな過渡期を迎えています。工業製品としての自動車を製造する時代から、モビリティ・移動サービスを開発する時代へ。このような環境変化に対応すべく、私たちは、モビリティカンパニーへのフルモデルチェンジに取り組み、人々が笑顔で暮らせる「もっといいモビリティ社会づくり」に挑戦しています。

私たちはこれまで自動車会社として、工業製品をつくってきました。そこで必要とされる人材の特性は、「均一性」だったと思います。バラつきがあるものを誰が作業しても同じ品質でつくることが大切だからです。しかし、これからはお客様のニーズも社会のニーズも多様化し、モビリティにもハードとソフトの両面で魅力的な性能が求められます。その中で、多様な価値観と能力を持つ人材が必要で、この多様な人材こそがイノベーションを生み出す原動力になると考えております。

2014年に掲げた目標は、当時の女性管理職比率を基準に2025年に4倍、2030年に5倍にするという目標です。2002年以降、託児所の設置や時短・育休拡大などの制度が整備されてきました。

そうした中、D&I推進グループとして大きな課題だと感じていたのが、「将来自分が管理職に就いた時のロールモデルとなる女性がいない」という社内の声でした。

そこで2020年に、試験的に社内で独自のメンター制度をスタートさせました。運用を続ける中で一定の効果が検証されつつも、要望として「トヨタの社内だけでなく社外のメンターにも相談がしたい」といった声も。

そこでダイバーシティ推進をテーマに掲げる研修会社を複数検討した結果、Mentor Forのサービスに辿り着いたというわけです。

Mentor Forの選定理由

荒木:ダイバーシティ研修を提供する会社が多く存在する中で、Mentor Forのサービスは「女性」という観点から、幅広いプログラムを提供されていることに大きな魅力を感じました。

私たちが今回導入させていただいた「社外メンター 1on1プログラム」のほかに、女性社員向けのキャリア形成トレーニングや社内メンター制度の運用支援、管理職・経営層に向けたメンタースキル・リーダーシップの向上プログラムなど、多くのサービスが充実していると感じました。

トヨタ自動車としても今回の取り組みは一過性のものとは捉えておらず、中長期を見据えた持続的な活動にする必要があると考えています。そうした点からも、我々と長く伴走してくださる会社としてMentor Forはとてもイメージが湧きやすかったのです。

また、トヨタ自動車と同様の規模感を持つ企業がMentor Forのサービスを導入していた点も、導入を決める一因でした。そういった企業の方々とは交流会などを通して情報交換をすることも多く、その中で推薦の声を聞く機会もありました。利害関係のないフラットな場でそういった評判を聞けたことで一層の信頼感が増し、自信をもって導入を考えることができました。

Mentor For導入の効果

荒木:今回のメンター活動は、2022年11月から翌年6月までの約半年間で行われました。実施後の率直な感想としては「非常に良かった」の一言です。

メンティ(メンタリングを受ける側)のアンケート結果には、「迷いがなくなった」「新しい視座が得られた」などが上位に並び、ほかにも「次世代の育成に貢献したいという気持ちが高まった」「思考が整理された」「自信が増した」などの声もありました。

今回参加したメンティは「管理職になる前の主任職(係長クラス)」もしくは「管理職に就いたばかり」のどちらかを満たしていることが条件で、全社から集まった約60名のメンティのうち、半数が社外メンターを希望していました。

すでに管理職として働いているメンティは「社外メンター(Mentor For)」を選択する傾向が強く、その動機は「社外のロールモデルに相談したい」が大半でした。

アンケート結果では、社内・社外どちらを希望したメンティも高い満足度となり、社外メンターへの声としては、「思考が整理された」「自信が増した」という声が多く上がっておりました。

一人ひとりのメンティに詳しくお話を聞くと「深掘りの時にしっかり順を追って話を聞いていただいたので、自分の思考がどんどん整理をされました」という声も。「それでいい」「あなたは間違っていない」と背中を押す言葉をかけてもらえたことが自信につながったようでした。

これらの声を聞き、社外メンターの皆様がメンタリングの専門家である事の利点を実感しております。

今後の展望

荒木:今回の取り組みを毎年実施するものとして定着させたい。それが目下の目標です。加えてMentor Forへの期待としては、他社データと比較した場合に当社の数値は平均よりも良いか悪いかなど、ファクトベースの情報を共有していただけると嬉しいです。そういった内容も織り込みながら、取り組みを促進していきたいと考えております。

今後の当社の課題としては、女性社員をモチベートする施策だけでなく、より上位のキャリアを見据えた業務のアサインなどをセットで進めることが重要だと考えています。戦略的な育成支援に繋げてこそ、意思決定レイヤーに女性が参画できる状態をつくれる。そのための一歩として、今回の取り組みは非常に有意義でした。

滝沢:新しい取り組みの一つひとつをまずは標準化して、継続的に運用することで基礎はつくられていくはずです。多様な価値観、多様な働き方を受容できる風土づくりを目指す中で、結果的にそれが女性活躍にも繋がってくる。そういった流れに繋がることを期待しております。

トヨタ自動車株式会社
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